研究概要 |
オボムコイド(OM)が鶏卵の主要アレルゲンであることから、未処理全卵を用いた卵料理及びその加工品19種類を定量的に調製し、各試料中の可溶性OM量を競争阻害ELISA法で測定した。各料理の1回摂取量に含まれる可溶性OM量を求めて生卵と比較した。卵および卵希釈液を用いた卵料理のうち、固めの揚げ卵に含まれる可溶性OM量は1/100に減少したが、他の料理中の可溶性OM量はほとんど減少しなかった。また、加工品ドーナッツやクッキーなどの小麦粉使用加工品中の可溶性OM量は顕著に減少したが、かまぼこと淡雪ではほとんど減少しなかった。これらの結果から作成したアレルゲン強弱表は、従来使用されている物とかなり異なった。 実際の調理の場では、卵白のみを利用する機会は稀で,多くは全卵で利用する。全卵のアレルゲン活性を低減化するために、卵黄に密着させた濾紙の小穴から卵黄内容物のみ吸引して卵黄膜に付着した卵白も完全に除去する方法を考案した。一方、卵白は、加熱NaCl溶液中に糸状にして注ぎ込んで、卵白表面積を大きくして、熱安定性の高いOMが入り込まないように凝固させ、更に十分に水洗した。この生卵黄と凝固卵白を混合した全卵にOMが含まれないことをウサギ抗OM抗体および卵アレルギー患者血清を用いた競争阻害ELISA法で確認した。次いで、卵白のゲル形成能を失った全卵(-OM)から卵焼き、カスタードプディング、ドーナツ等5種類の調製方法を検討した。ドーナツはそのままで調理可能であったが、カスタードプディングの場合には添加牛乳を減らし、厚焼き卵には片栗粉を添加し、ケーキ類にはベーキングパウダーを添加することで調製可能となった。このように簡単な改良で卵白が凝固した全卵でも卵料理素材として十分に利用できることを確認した。更に家庭の調理器具を用いても卵白からOMを1/6000まで減少させることが出来た。
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