研究課題/領域番号 |
12680149
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
原 孝之 中村学園大学, 家政学部, 助教授 (10164998)
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研究分担者 |
竹嶋 美夏子 中村学園大学, 家政学部, 助手 (00241183)
原田 信広 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00189705)
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キーワード | 動脈硬化 / 女性ホルモン / アロマターゼ / エストロゲン / ノックアウトマウス / 食事因子 / コレステロール |
研究概要 |
閉経後の女性では、閉経前の女性と比べて、心筋梗塞や動脈硬化などの循環器疾患の発症率が有意に高いことがよく知られている。閉経後の女性では、女性ホルモンのエストロゲンの低下が著しく、これが動脈硬化の病因であると理解されてきた。エストロゲンは男性ホルモンのテストステロンを基質として、卵巣などの生殖器官に存在するアロマターゼと呼ばれるチトクロームP-450酵素の触媒によりつくられる。今回、アロマターゼ遺伝子をノックアウトしたマウス系統B6129J、4ヶ月齢の♂[体重30.6±5.4g(n=9)]、♀[体重23.1±3.4g(n=10)]と正常なマウス♂[体重25.3±2.6g(n=7)]♀[体重21.7±3.0g(n=11)]を、高コレステロール食(5%コレステロール、0.5%コール酸、10%ラードをCRF-1に添加したもの)またはコントロール食(CRF-1)で4ヶ月間飼育し、各群マウスの血清Total-Cholesterol(T-C)とHDL-Cholesterol(HDL-C)を分析した。また、各マウスの大動脈をパラフィン包埋後、ヘマトキシリン・エオジン染色し、光学顕微鏡で観察し、エストロゲンの有無が、動脈硬化性疾患にどのような影響が与えられるかを検討した。光学顕微鏡によるマウスの大動脈血管の観察より36匹のマウスからは動脈硬化の病変は見られなかった。いずれのマウスにおいても高コレステロール食を与えると、血清T-Cは、約1.5〜2倍有意に増加し(214〜271mg/dl)、HDL-C/T-C×100(%)は、約40%に有意に減少した。このことから、高コレステロール食を与えると、LDL-Cの増加が考えられる。昨年の同様な検討で♀-/-マウス一例に高コレステロール食負荷による動脈硬化病変がみられたが、その血清T-Cは1966mg/dl、HDL-Cは26mg/dlであり、今回の実験における高コレステロール食負荷-/-マウスのT-Cは動脈硬化を引き起こすには明らかに低すぎたものと思われる。
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