研究概要 |
米沢特産のウコギの抗酸化機能を生食用カット野菜の鮮度保持に利用することを目的として、ウコギの抗菌活性を調べとともに、カット野菜の栄養成分の変動および褐変化反応に及ぼすウコギ抽出液の効果を明らかにした。 1.ウコギの抗菌活性の解析と抗菌物質の検索 ウコギの10%水抽出液を調製し、4菌株Escherichia coli, Bacillus cereus Staphylococcus aureus, Salmonella typhimuriumに対する抗菌作用をディスク法によりを調べた。ウコギ抽出液は4菌株すべてに抗菌活性を示した。さらに抽出液をメタノール、酢酸エチル、ブタノールで分画し、各分画の抗菌活性を調べた結果、サポニンを含むブタノール画分が4菌株に対して強い活性を示し、クロロゲン酸を含む酢酸エチル画分はE.coliとSt.aureusに活性を示した。 2.カット野菜のビタミンC含量に及ぼすウコギ処理の影響 キャベツのビタミンC量は千切りカット処理により76%に低下した。この千切りキャベツを蒸留水、2%ウコギ抽出液、1%食塩水、1%クエン酸溶液、1%酢酸溶液、0.1%次亜塩素酸溶液に30分間浸積処理したところ、ウコギ抽出液と食塩水ではほとんど減少しなかったが、クエン酸と酢酸では1/2〜1/3に低下した。ウコギ抽出液はカット野菜のビタミンC減少を防止する効果があることが示された。 3.カット野菜の褐変に対するウコギ処理の効果 ゴボウを短冊切りにし、蒸留水、2%ウコギ抽出液、1%ビタミンC溶液、1%食塩水、1%クエン酸溶液、1%酢酸溶液に10分間浸積し、経時的に色の変化を観察した。ウコギ抽出液は食塩水、クエン酸と同程度の色の変化であり、褐変防止に効果を示した。
|