研究課題/領域番号 |
12680159
|
研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
大沢 眞澄 昭和女子大学, 文学部, 教授 (70019462)
|
研究分担者 |
小泉 玲子 昭和女子大学, 文学部, 講師 (00173758)
菊池 誠一 昭和女子大学, 文学部, 講師 (40327953)
|
キーワード | ベトナム / 焼締陶器 / 化学組成 / 鉱物組成 / 焼成温度 / 焼成雰囲気 / 生産地 / 日・越交流 |
研究概要 |
近年ベトナム陶磁器に関する自然科学的研究は盛んになりつつあるが、16世紀から17世紀にかけて日用雑器として広く流通した焼締陶器についての研究は殆どなされていない。ベトナム中部のミースェンなど3窯址群の生産地資料、およびベトナム中部ならびに日本国内遺跡出土の消費地資料、計34点の焼締陶器片を研究の対象とした。 ベトナム焼締陶器の材質の特徴を主成分8元素の組成より調査した。エネルギー分散型蛍光X線分析法により、各試料切断面上3mm径で3ケ所測定を行い、全体的な組成を検討したが、外見上の粗構造に比べて比較的均質な組成を示すことが認められた。また外面、内面、断面の色などの組成の不均一さを考慮して、若干の試料については微小部の測定を行った。 鉱物組成は粉末X線回折法により検討した。殆どの試料は石英・ムライトの存在を示し、焼成が良好であることが認められた。焼成の温度のより詳細な検討は示差熱分析法、赤外吸収スペクトル法により実施中である。このさい、焼成温度の目安とする比較対照物質が得られず、日本の参考資料などを調査している。また試料の色について分光色彩計による分光反射率、L^*a^*b^*の測定を行い、焼成条件(雰囲気)との関連も検討している。 主成分元素と微量成分元素(報告済み)の存在量より、クラスター分析を用いて当該資料の生産地と消費地間の流通関係を検討したが、日・越両国間の移動が自然科学的に立証されたと考えられる。
|