研究概要 |
湿潤条件下に長時間放置して錆びさせた含塩鉄圧縮成型品を用い、実際の処理条件に近い条件下で脱塩処理に及ぼす含フッ素オリゴマーの添加効果を調べた。その結果、含フッ素オリゴマーを添加したKOH水溶液は、従来用いられているセスキカーボネイト溶液と同程度、あるいはそれ以上の脱塩効果を示すこと,およびベタイン型オリゴマーが脱塩処理に適した特性を有していることを見いだした。さらに,脱塩速度と処理後の保存状態との両方の観点から,ベタイン型オリゴマーの内のどのタイプのオリゴマーが適しているかを実験的に調べた。その結果,脱塩量に関しては,長い鎖長の含フッ素官能基を有する親水基のみを持つオリゴマー(SK-6)が優れており,現在実用化されているセスキカーボネイト溶液に比べると脱塩量は約3.7培であった。また,飽和湿度の空気環境下における脱塩処理後の再錆化に関しては,親水基と疎水基を有するオリゴマー(SK-15)が優れた特性を有しており,再錆化量が最も少なかった。以上の結果から,SK-6で脱塩処理を行なった後にSK-15で防錆処理を行えば,良好な保存処理が期待できることが分かった。
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