研究概要 |
【研究目的】最近特に問題になっている若者の理工系離れは,ものつくりを直接体験することが少なくなっていることが要因の一つであると考えられる。このような現象を払拭するための試みとして,本研究では,生活の中に溢れているプラスチック製品の製造法の一つである射出成形法を取り上げ,中学校技術・家庭科において使用できる簡易型のプラスチック射出成形機およびビデオ教材の開発を目的とする。【研究実施内容】射出成形法の基本機能である「溶かす」,「流す」,「固める」という三つの機能を忠実に実現することを念頭におき設計を行った。プラスチックを溶融する部分は,プラスチックペレットを入れる容器をバンドヒータによって加熱する方式とし,さらに熱電対を設置して温度制御を可能とした。溶融したプラスチックを射出する部分は,ACサーボモータとボールねじによってプランジャーを押し出す方式としてコストダウンを狙った。金型は,外部冷却装置などを設置しない自然冷却による簡易金型とした。射出成形機の設計仕様は,射出容量20cc,射出圧力40MPa,射出速度20mm/sである。ビデオ教材の領域は,環境教育に関わるゴミ処理問題を整理するところからはじめ,資料収集ならびにゴミ処理現場の実態をVTRによって記録するなどの作業を行った。【研究実施結果】設計した各種図面をもとに各種部品の製作ならびに組み立てによって射出成形機の製作を行った。さらに設計した簡易型の金型に射出してプラスチック製品の成形が可能なことを確認した。収集したVTR資料は,DVノンリニア編集によって整理した。今後は,射出成形機仕様の確認,各種金型の製作を進める。また本簡易射出成形機の使用法,プラスチック加工およびプラスチック材料ならびにゴミ処理に関わるVTRを整理・検討してプラスチック加工の教材化を進める。
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