環境教育は環境基本法にその振興が盛り込まれることで環境基本計画に組み込まれることとなった。このことを契機に、従来は学校教育という狭い場でとらえられてきた環境教育が主要な政策手法の一つ、すなわち環境ガバナンスの一環としてとらえられるようになった。しかし環境ガバナンスの研究がまだ日が浅いことや環境教育がそのアクターや場など個別分散的に研究対象となってきたことなどの理由で、環境ガバナンスとしての環境教育の研究はわが国ではほとんどなされてこなかった。このため本研究においては、アクターを学校のみならず企業やNGO、行政など広くとらえることで環境ガバナンスとしての環境教育の果たす役割、また現状の課題の抽出、その解決に向けた政策などを行うことを目的に研究をすすめた。研究体制としては、研究代表者がプロジェクトリーダーをつとめている(財)地球環境戦略研究機関環境教育プロジェクトの全面的協力を得て、研究組織を構築し取り組んだ。この意味で、本研究は(財)地球環境戦略研究機関環境教育プロジェクトとの共同研究といえる。 研究成果として、(1)アジア太平洋地域の環境教育の現状と課題、(2)日本の環境教育の現状と課題、(3)主要アクターの環境教育の現状と課題、の3つに大別することできる。(1)として(1)アジア太平洋地域36カ国(日本含む)の環境教育の現状と課題を広く調査し、課題を抽出し、環境教育推進のための環境ガバナンスの提示(環境教育推進戦略の提示)を行った。また、(2)タイの環境教育の制度化のち研究、(3)インドネシアのNGOによる環境教育の果たす役割の研究、(2)としては(1)日本の学校教育における環境教育の課題、(2)日本の公害教育の制度化についての研究が含まれる。(3)については(1)企業による環境教育の取組、(2)高等教育における環境教育の制度の検討などが含まれる。
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