本研究は平成12年度より継続されている研究であり本年度は3年目になる。なぜ数学の授業をうけねばならないのかを知るには、数学の学習内容に対して生徒がそれを学ぶ必要があることを自覚できるように教師が意図的に教材や指導方法を工夫する必要があると考える。平成14年度には現職の中学校教員等とともに中学生を対象とした授業1〜9を9つ実施し、それぞれの教材とその指導法を具体的にした。指導方法で分類すると次のようになる。括弧内は対象学年である。 1.オープンエンドアプローチによる (1)「どのように分類するか」の問題を使用する。 授業1.正の数・負の数(中学1年) (2)「どのような性質が見つかるか」の問題を使用する 授業2.相似の定義と性質(中学2年) (3)原題をつくりかえる活動を取り入れる。 授業3.基本の図(中学1年)、授業4.作図の応用(中学1年)、授業5.平行四辺形の性質(中学2年)、授業6.平行線と比例(中学3年) 2.特殊から一般へ接続する 授業7.文字式の利用(中学2年)、授業8.いろいろな四角形の応用(中学2年) 3.易しく解決できる条件を、より難しい条件にかえた課題を使用する 授業9.二次関数の応用(中学3年) 以上に掲げた内容について、生徒が学習する必要性を感じさせるに耐えうる教材と指導方法を具体的に提示することができた。それらの成果は、平成13年度科学研究費補助金(基盤研究C2)研究成果報告書として、表題「学習の必要性を認識できる数学科授業の導入の開発研究(III)」のもとにまとめられている。
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