本年度は研究の最終年度である。これまでの成果をまとめ、研究の目的に対する検証を中心に行った。その結果次のようなことが明らかになった。 1.学習の必要性を動機づける手だてとして、授業の導入問題や場面設定、指導過程の作り方、指導形態を工夫することが必要である。 2.学習を動機づける導入には、操作活動、観察、作業、類例を扱うなどが効果的である。 3.本研究のねらいに適応する17の数学の授業をこれまでに得ることが出来た。それらは、学習指導案の形にして提示することが出来た。取り扱った内容は、中学校の1年生から3年生にわたる次に掲げるものである。 中学1年・・・比例、正の数・負の数、基本作図 中学2年・・・一次関数、文字式の利用、変化と対応、四角形、中点連結の定理、合同と相似 中学3年・・・場合の数、円と中心角、円と相似、二次関数、平行線と比例 4.生徒を数学の授業に引き込む授業構成は、次のような方法がよい。情緒に関係する領域と、価値観、必要感に関係した領域を基盤として、指導内容、生徒の発達段階を考慮する。 5.学習の必要性を動機づける効果的な手だては次に掲げることである。 ・生徒の主体性を保証する活動を取り入れる。 ・導入の課題を解決する必要性を認識できるように工夫する ・必要感に直面するような課題の設定をする。 ・指導形態を工夫する。 本研究は4年間にわたる継続研究であり、学校現場の現職の教員と共同して推進してきた。理論に支えられた実践研究のこれまでの成果を平成15年度の研究報告書[IV]にまとめた。これらの成果は、今後中学校における数学科教員に対して、多大なる示唆をあたえるとものと考えられる。
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