研究概要 |
中等教育段階の生物教育における「生物とその環境との関わり」に関する学習効果を高めるために,光に対する生物の様々な応答を総合的かつ探究的に学習するプログラムを開発した.その学習プログラムには,「光と光合成」「光の質と植物の分布」「植物の光形態形成」「動植物の光周性」「動植物と紫外線」などの学習内容を組み入れることとし,実験開発を中心に教材開発を行った. 片山は,海藻の光合成の教材化に取り組み,海藻の生育環境と海藻の色および海藻の色と光合成に用いられる光の関係を理解させる実験の開発とそれを取り入れた授業の実践した.さらに,近年アメリカやイギリスで生物教材として活用されているWisconsin Fast Plants(WFP)を用いた光形態形成の実験開発を試みた.WFPを用いれば1週間〜10日で長日植物の花芽形成を観察することができ,従来から取り上げられてきた短日植物のアサガオの花芽形成とセットで取り上げることができると思われる. 中西は,高校生物Iにおける植物の光応答の実験を検討し,2つの新たな教材化を行った.その1つは,アサガオの開花に関する光周性の実験開発である.また,ムラサキカタバミの葉における光依存性開閉運動(就眠運動)の教材化を試み,その小葉の開閉を定量的に測定する方法を検討した.さらに,その開閉運動が光の強さに依存するとともに,青色光によって誘導されるが赤色光は効果がないことを明らかにすることができた. 高森は,ショウジョウバエを用いて,高校生物I「環境と動物の反応(イ)刺激と受容と反応」に利用できる光応答の実験・観察を開発した.この実験は,走光性の学習とともに,昆虫の色覚の仕組みをヒトの色覚と比較する学習にも利用できる.
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