研究概要 |
1.天然物色素の抽出法の検討と同定 本研究に用いる天然物色素を抽出する原料として,昨年度に研究対象としたスオウの幹部およびケナフの花弁部に加えて,藍の葉部,アロエの葉部を用いることを検討した。藍の葉部からの天然物色素インジゴの抽出およびアロエの葉部からのキノン類のアロエエモディンを抽出する教材的方法と抽出条件を明らかにした。 2.天然物色素の呈色のpH依存性 アロエの葉部から抽出したアロエエモディンの溶液のpH値の変化に伴う呈色の変化を,紫外可視分光光度計を用いて検討したところ,pH7.1-9.1に変色域をもち,酸性側で黄色,塩基性側で赤色を示すことがわかった。 3.天然物色素と重金属イオンの反応性 アロエエモディンのエタノール溶液と各種重金属塩水溶液との呈色反応を調べたところ,鉄(III),アルミニウム,銅(II),およびマグネシウムイオンを含む水溶液に対して顕著な呈色反応を示すことがわかった。また,連続変化法により,アロエエモディンと各種金属イオンの反応比の検討から,生成するアロエエモディン金属錯体の構造を推定した。 4.天然物色素合成の教材化 藍の葉部からのインジゴの抽出分離とインジゴの化学合成を取り入れた高等学校「化学」における有機化学の実験教材を開発した。公立の高等学校において実践研究を行い,実験手法や指導計画の見直しを行った。実践授業における生徒の自己評価からは,教材としての有効性が確認できた。 5.天然物色素による重金属イオン定量のための教材的手法 スオウ抽出液を用いた重金属イオンの簡易定量分析のための金属試験紙の開発を行い,低濃度の重金属イオン水溶液を用いてその実用性を検証した。
|