研究概要 |
教師がより上手に授業が行えるかどうかは情動情報処理系と認知情報処理系をうまく扱えるかどうかにかかわっている.しかし,この子供の状態は外見的な子供の顔や行為をみているだけではなかなかはっきりしない.そこで,生理反応を指標として本研究を進めている. まず,本研究室では皮膚抵抗反応のデータを多く測定してきたので,これらを再度みなおし,検討した.授業カテゴリとして,(1)教師と子供達が相互作用しながら,授業を進めていく場面,(2)教師が一方的に授業を進め説明解明していく場面,(3)子供達にVTRを視聴させている場面,を切り抜き,皮膚抵抗反応のパワスペクトルと周波数の関係を計算し,その勾配を求めた.その結果,勾配の絶対値が2に近くなるほど集中して聞き入っている授業であり,1に近くなるほどざわつき気味の授業になっていることがわかった.そして,上記授業カテゴリの授業場面の頻度をとってみると,いずれも二山現象がみられた.これは通常,授業カテゴリ別にしても,そのカテゴリでの授業の善し悪しは連続的であり,正規分布に近いかたちで,平均的なところにその頻度が高くなるでろう.しかし,二山現象がみられたことは子供の方で実際の授業のわずかな違いをキャッチしこの授業は一生懸命に聞く必要のある授業場面であるのか,聞く必要もないくだらない場面であるのかの判断をし,授業参加への力の入れ方がかわることからくる現象であり,自己組織化現象でもあると解釈される.このことは,より詳細に検討しなければならないが,情動系の微妙な判断で授業参加への力の入れ方がかわることからくるものとも解釈される.以上のような結果が見いだされてきたが,今後全面的に多くの観点から検討していこうと考えている.
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