2001年5月に、保育者(幼稚園教諭・保育士)養成の約7割を占める全国の保育者養成短期大学204校に開講科目表とシラバスの送付を依頼した。有効回収数は147校(回収率72.1%)だった。「保育内容環境」に相当する科目で自然にかかわる指導法を学ぶ内容の有無を調べると、授業計画にふくむものは合計127科目で7割を越えたが、反対に3割近くの43科目が全く自然との関わりを取り入れていなかった。9割を越える養成校で必修だった。「総合演習」に相当する科目は、134校で開講されていたが、記載が不十分な学校が多く、残る13校では開講の有無が判断できなかった。「環境教育的内容」を少しでも取り入れていた養成校が60校(44.8%)だったが、134校中72校(53.7%)で複数課題を設定して学生が選択するという方式を採っており、すべての学生が受講するわけではない。これら以外の科目で、環境教育的内容のある科目は341科目だった。うち7割がいわゆる一般教育科目群(保育士資格では保育基礎科目)で開講されており、免許や資格に関する専門科目での開講は1割程度で、残りはそれ以外の専門科目での開講であった。選択必修は、341科目中、幼稚園教諭免許の必修は37科目(10.9%)、保育士資格の必修は27科目(7.9%)にすぎず、ほとんどが選択科目であった。また、実施の程度も、授業計画の一部にしか取りあげていないというものが多かった。以上、保育者養成短期大学において環境教育の機会は与えられてはいても、授業計画の部にしか取りあげられなかったり、選択科目であるなど、すべての保育者志望者に対して実施されているわけではないことがわかった。
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