2000年度は保育者(幼稚園教諭及び保育士)養成課程の教育課程改革に向けての文献調査を行い、新教育課程に何が望まれており、それに応じて法制上の改革がどう行われつつあるかを分析した。2001年度は、幼稚園教諭養成の教育課程改革の年度にあたり、全国の保育者養成短期大学204校に開講科目表とシラバスの送付を依頼した。有効回収数は147校(回収率72.1%)だった。また、2002年度は、保育士養成の教育課程が改革されたため、全国の私立短期大学202校に郵送でシラバス及び学生便覧の送付を依頼した。有効回答校は149校(回収率73.8%)であった。それらのシラバスから教育内容やカリキュラムを詳細に分析した結果、保育者養成課程における環境教育の実施実態は(1)環境教育は一般教育科目中心に行われている、(2)自然に関わる保育指導力の養成は領域環境で実施されている、(3)総合演習は環境教育を実施する場となり得ていない、(4)総合演習の必修化以外は幼稚園教諭養成と保育士養成の教育課程には変化はほとんどなく、教育課程改革は2001年度の幼稚園教諭養成課程の改革でほとんど終了し、2002年度の保育士養成改革にあたっては微修正が行われたにすぎないことがわかった。 今後しばらくは現行の教育課程のまま保育者養成は進められるので、教育課程上での新規開講を増やすなどの対応は非現実的である。したがって、一般教育科目や総合演習での内容の充実が求められ、一部分であっても全員が環境教育的内容を受講できるような体制づくりが求められる。長期的には、環境教育が保育者養成の課題でもあることが認知されることが必要であり、また、短期養成では免許や資格関連科目だけで卒業単位を充足してしまうため、保育者養成が4年養成にシフトしていくことが求められよう。
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