本研究は、人間の素質ないし生来の手先の器用さが「物づくり」における素質の基になっているという前提の下に、工科系の学生の技能的素養を比較的軽易に計測し、その結果を基に技能向上を図る簡易なシミュレーターとしても使用できる教材の開発に関するものである。 教材は、検出部、記録部及び表示部の各部から構成されてている。 開発された教材は、被験者が簡易な道具(手鋸)で加工する場合の掌に分布する圧力変化を計測し、これを熟練工と認定されている標準者のそれと比較し測定時点の技能度を定義する。ついで、被験者に熟練工の圧力変化の様子を伝え道具使用の要領を教育し、事後の練習目標を与える。被験者は定期的に練習し、その途中で再計測と標準者のそれと比較して自らの技能進展度合いを把握する。目標が達成された被験者は満足感を享受する。 一方、どのようにしても関係技能の向上が図れない被験者が、その後の進路に疑問を抱くようであれば、この試料を進路指導のカウンセリングの一資料として活用できる。
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