平成12年度は、筆者がこれまでに実施してきた研究結果に基づき、英語力の高い学習者が用いている学習方略を整理し、現実的に教授可能であると判断される学習方略として、語彙学習方略とメタ認知方略を選択した。以上の方略については今回の研究に先立って予備的に高校生、中学生に教授を行っているので、その中から効果が期待されるものをしぼり、実験協力者である東京都の公立高校、中学校の英語教諭各1名からその資料について助言を得て、最終的に教授資料を準備した。高校生については語彙学習方略17項目、メタ認知方略11項目の計28項目を作成し、中学生に対しては語彙学習方略15項目、メタ認知方略11項目の計26項目を作成した。この他に、学習方略教授の効果を調べるため事前、事後英単語テスト、事前、事後アンケートも作成した。教授する学習方略は高校、中学別にそれぞれ小冊子の形にした。平成12年度3学期に学習方略を1学期間高校生、中学生にそれぞれ教授した。まず事前アンケート、事前テストを実施して実験群、統制群が等質であることを確認し、その後生徒に学習方略に関するプリントを配付して、実験協力校の各教諭が授業時間内に約5〜10分をかけて直接生徒に教授した。その間、英語教科書の1課分が終わるごとに、授業時間内に改めて学習方略を簡潔に説明した。3学期が終わった時点で、事後アンケート、事後英単語テストを実施した。高校生について既に実験データは入手済みであり、中学生についても平成12年度3月末までに実験のデータはすべて入手する予定である。
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