日本人高校生に対して、英語学習において学習方略を教授することが可能であるかどうかを調べる前段階として、昨年度の2000年に学習方略のうち、筆者による選考研究の結果から教授することが可能であると期待される、語彙学習方略17項目とメタ認知方略11項目を選択し、学習者に説明するためのリーフレットを作成した。このリーフレットを基に、2001年1月から3月までの1学期間、東京都の公立高校1年生119名を対象とし、実験を行った。実験に際し、統制群(41名)の他、実験群を2群準備した。実験群1(38名)には語彙学習方略17項目のみを教授し、実験群2(40名)には語彙学習方略17項目とメタ認知方略11項目を同時に教授した。学習方略の効果は語彙テストにより測定し、メタ認語彙学習方略の変容は、事前、事後アンケートにより測定した。データは分散分析を用いて分析した。分析の結果、以下の3点が明らかになった。まず第一に、語彙学習方略のみを教授するより、メタ認知方略を併用して教授する方が語彙力が向上した。第二に、語彙力の低い学習者にとっては、語彙学習方略とメタ認知方略を組み合わせて教授すると語彙力が向上するばかりでなく、語彙学習方略のみでも語彙力の向上がみられた。第三に、性別の差による学習方略教授の違いはみられなかった。以上の結果から、本研究で取り上げた語彙学習方略は効果があることと、その教授可能性は確認されたといえる。
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