本年度は、各地のメディアコーディネータに関する調査を実施したほか、N市のメディアコーディネータと綿密な連絡をとれる環境が整ったので、この利点を生かした研究を進めるよう計画を多少変更した。 メディアコーディネータとして雇用された人材は、必ずしもその訓練を十分受けているとは限らない現実がある。本研究では、そのような場合への効果的な対処方法について実践を通して明らかにする方法を試みた。その結果、次のことが明らかにされつつある。 1 メディアコーディネータへのコンサルテーションが重要である。 メディアコーディネータは、自分の知識や経験を越える課題に遭遇することが多く、これらの場合、コーディネータが蓄積しているデータベースを参考にしても解決策のアイディアが浮かばなかったり、考案した解決策に自信が持てない場合がある。本研究では、これらに対し、(1)現場からの電話での問い合わせに応じる技術支援、(2)業務終了後のコンサルテーションの体制を整えることの重要性を指摘し、実践を通してその効果を明らかにした。利用が可能となったテレビ会議が可能な携帯電話はメディアコーディネータの必須アイテムになる可能性が指摘された。 2 コーディネータ受入校との事前打ち合わせには、打ち合わせシートが有効である。 メディアコーディネータの任務を遂行するためには、受け入れ校との事前打ち合わせが重要な意味をもつことが、実際の活動を通して明らかにされた。このために、事前打ち合わせを効率的に行えるような打ち合わせシートを開発した。開発したシートは、(1)コンピュータ環境整備状況シート、(2)児童・生徒のコンピュータリテラシーを評価するシート、(3)コンピュータやネットワークを活用した学習活動うちどのような種類の活動の経験があるかを明らかにするシートである。これらのシートの記入によって、コンピュータに慣れ親しませるだけの意識しか持たなかった教師の意識の変容が見られつつある。
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