研究概要 |
本研究は,質間紙調査や事例研究により,情報教育実践の評価を重層的に試みることを目的とするものである。その際,マルチメディアやネットワークに対する子どもの態度を評価の視点とした。これは,情報教育の目標体系のうち,情報活用の実践力の基盤であり,かつ情報社会に参画する態度の具体的な現れとなるものである。こうした評価研究を遂行するために,情報教育を推進している教育現場の教師たちと共同研究体制を採っている。本年度は,昨年度からの継続研究になるので,次のような3本の柱を立てて,研究を深めた。 (1)平成12年度に実施した調査のデータ分析・考察 昨年度,大阪・岡山・和歌山・香川・広島の小・中学校5校910名を対象として,「メタファ法」「絵画投影法」を主柱とする質問紙調査を実施した。そのデータを学校間で比較して,各種メディアの利用経験の違いが,子どものメディアに対するイメージや態度に与える影響について考察した。その結果,例えば,インターネット利用経験が豊かな子どもたちは,このメディアに対してアンビバレントな態度を有していることが確認された。 (2)対象校の事例研究 8月から2月にかけて,岡山の小学校を訪問して,授業観察や教師に対する聞き取り調査を実施して,同校の情報教育カリキュラムの枠組みや子どもたちのインターネットを始めとする各種メディアの活用の実際に関して,質的なデータを収集した。 (3)継続調査の実施 2月末に,岡山の小学校で継続調査をおこなった。5・6年生を対象として,昨年度と同じ質問紙調査を実施し,コンピュータやインターネット利用経験の深まりが同校の児童のメディアに対する態度に与える影響を縦断的に測定した。 現在,この追加データのコーディング,コンピュータへの入力,統計処理を進めている最中である。また,(2)のデータとのすり合わせの準備をおこなっているところである。
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