本研究は、質問紙調査や事例研究により、情報教育実践の評価を重層的に試みることを目的とするものである。こうした評価研究を遂行するために、情報教育を推進している教育現場の教師たちと共同研究体制を採った。本年度は、研究の最終年度にあたるため、主として、データの最終的な整理を進めるとともに、成果発表並びに報告書の作成に着手した。 (1)学校間比較のまとめ(5〜10月) 平成12年度、大阪・岡山・和歌山・香川・広島の小・中学校5校910名を対象として、「メタファ法」「絵画投影法」を主柱とする質問紙調査を実施した。そして、学校間比較によって、学校によるコンピュータやインターネットの利用経験の違いが、子どものメディアに対するイメージや態度に与える影響を明らかにしてきた。本年度は、そうした分析結果を対象校の情報教育実践の特色と関連づけて検討し、子どものメディアヘの態度に情報教育実践が与える影響について考察した(担当:木原、生田)。また、得られた知見を10月に開催された日本教育メディア学会において発表した(担当:木原、生田)。 (2)事例研究のまとめ(6〜11月) 岡山の小学校の児童を対象として、平成13年度にも、平成12年度と同様の調査を実施した。本年度は、平成12年度と13年度の調査結果を比較し、同一集団のメディアに対する態度の変容を確認した。また、子どものメディアへの態度に情報教育実践が与える影響について考察を深めるために、対象校の情報化リーダー教師に分析結果を題材としたインタビューを実施した(担当:木原)。 (3)報告書の作成(12月〜2月) 情報教育実践の動向を整理するとともに、(1)(2)の知見を文章化し、3年間の研究成果を報告書にまとめた(担当:木原、生田)。なお、報告書は、日本教育工学会や日本メディア教育学会のメンバーに配布し、識者より本研究の成果・課題に関する評価を受ける予定である。
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