本研究の目的は、既存のCAI教材のテキストに意味的修飾TAGを施すことにより、それを多用途知的コンテンツ化するものである。TAGによって教材内の各情報の意味概念が明らかになり、知識源としての性格や汎用性が高められ、それに基づく知識処理やその再利用の可能性がより大きくなると考えられる。 そのためには、広い観点からの一般性のある意味的修飾TAGを定義することが求められる。しかし、そのような理想的なTAG集合をトップダウンに定義することは必ずしも容易ではない。そこでいくつかの目的を想定したTAGの部分集合を定義し、それらを用いた実験をおこない、洗練あるいはその範囲を拡大していくというボトムアップなアプローチが考えられる。 そこで、本年度は学習者のテキストの文章理解支援を目的とした質問応答を想定し、そのためのTAG集合を定義するための枠組の研究を行った。まず、学習者はどのようにしてテキストの文章を理解するか、その方法を調べ、また、それに対してどのように支援を行い得るか検討した。そして、その結果に基づき学習者の文章理解支援の一枠組を設計した。 文章理解支援を目的とした質問応答は、学習者がテキストの文章を理解する上で発した質問に対して、そのテキストの文章そのものを用いて応答することになる。したがって、テキストの文章に対して、想定される質問への応答文を編集あるいは生成するための手掛かりになるようなTAGを付加しなければならない。 今後、こうしたTAG集合を定義すると共に、質問文を解析するインタフェースを研究することが主な課題になる。
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