本研究の目的は、既存のCAIテキスト教材に意味的修飾TAGを施すことにより、その多用途知的コンテンツ化を図るものである。テキスト上の情報がTAGによってその種別や意味が明らかになれば、データとしての性格が増す。そして、それらは作成時に想定した以外のアプリケーションあるいはツールで利用、処理することも可能になる。これにより、教材の多様な再利用が促進されると考えられる。 テキスト教材は、一般に、文、式(数式、関係式、論理式、化学構造式、プログラム図式など)、図(概念図、構造図、木構造図、幾何図形など)、表、絵、スケッチ、写真などからなる。文は構文解析や意味解析がある程度可能であり、式は変換やその妥当性を診断することができる。また、概念図は述語に変換することができるし、幾何図形からはそれが内包する幾何学的関係を生成することができる。TAG付けされたテキスト教材と上述のような処理機能を持った様々なCognitive Toolsと組み合せることによって、様々な教育支援が行えると考えられる。 本年度は、学習のためのWorkstationとでも言うべき電子テキスト&ノートシステムを想定して、TAG付けされたテキスト教材の可能性について、式変形やその診断、Note-Takingなどのインタフェース(Cognitive Tools)を通じて具体的に検討し、意味的修飾TAGの可能性、有用性を明らかにした。
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