視覚障害者が適応できるコンピュータ支援共同作業環境(CSCW)の研究と開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12680233
• 研究機関: 筑波技術短期大学
• 研究代表者: 伊奈 諭 筑波技術短期大学, 情報処理学科, 教授 (60231734)
• キーワード: 視覚障害 / 触図 / 対戦ゲーム / 非視覚的インタフェース / ノーマッド / タッチパネル / マルチメディア

研究概要

遠隔地に分散する複数の視覚障害者が晴眼者と共に協力し合って仕事ができるようなコンピュータ支援共同作業(CSCW)環境を実現するために新たな研究開発を開始した。晴眼者の世界では遠隔地に分散された複数の利用者が共同して一つの仕事に取り組むためのシステム化が研究開発され利用に供されつつある。視覚障害者がそれらのシステムを利用し、協同作業に参加し晴眼者と協力して作業ができるためには全く新たな仕組みと機能が必要である。映像、音声、音、ハプティック知覚、触知覚などのマルチメディアを総動員して視覚以外の感覚器官を複合利用することにより、視覚障害者から見た新たなCSCWインタフェース機構の調査研究とシステム開発を行った。
本研究の基幹機能として、まず分散した遠隔地ユーザのマルチメディア双方向同時コミュニケーション機構の調査と開発を行った。次にCSCW環境の前段階のサンプル実験システムとして、多人数が同時参加でき、内容が分かり易く評価が行いやすい対戦型ゲーム(連珠、トランプ)を取り上げ、システム開発と評価を行った。また視覚障害補償インタフェースのCSCWシステムへの組み込みのために、触知型タッチパネルNomadを接続利用できるようにした。今回の研究実績は以下の3項目にまとめられる。
(1)クライアント間双方向同期コミュニケーション機構の開発と実験
遠隔地分散された複数のクライアントユーザがコンピュータネットワークを介して共同で同時進行の作業を行えるように、多方向同時コミュニケーションの基盤システムを開発実験した。
(2)CSCW環境の入門的サンプル(遠隔地トランプゲーム)の開発と実験
CSCW環境の入門的実験システムとして遠隔地複数クライアントによる連珠やトランプゲーム(七並べ)を構築し、実験評価した。
(3)成果発表:国際会議への途中経過と中間成果の研究発表を行った。

研究成果

• [文献書誌] 伊奈諭: "視覚障害者と晴眼者で遊べるネットワークゲームの作成"筑波技術短期大学テクノレポート. No.8. 109-111 (2001)
• [文献書誌] Satoshi INA: "Multi-user Network Games for the Visually Impaired-Using Tactile and Auditory Interface to Graphical Screen"Proceedings of Nordic Conference on Computer-Human Interaction. Vol.1. (2000)
• [文献書誌] Satoshi INA: "Multimedia Communication Interface for the Visually Impaired"Advanced Research in Computers and Communications in Education. Vol2. 203-206 (1999)
• [文献書誌] Satoshi INA: "A support System for the Visually Impaired Using a Windows PC and Multimedia"Human-Computer Interaction INTERACT'99. Vol.2. 37-38 (1999)
• [文献書誌] 伊奈諭: "眼球構造をある程度考慮した単眼視と両眼視のグラフィックスと視覚についての一考察"画像電子学会誌. Vol29,No3. 222-229 (2000)
• [文献書誌] 伊奈諭: "眼球構造をある程度考慮した単眼視と両眼視のグラフィックス"情報処理学会第60回全国大会論文誌. Vol.4. 107-108 (2000)
• [文献書誌] 伊奈諭: "単眼視と両眼視のグラフィックスシミュレーション"筑波技術短期大学テクノレポート. No.7. 197-201 (2000)
• [文献書誌] 伊奈諭 ほか: "情報バリアフリー実現に資する標準化調査研究委員会報告書"日本規格協会. 99 (2001)