研究概要 |
晴眼者の世界では遠隔地に分散された複数の利用者が共同して一つの仕事に取り組むためのシステム化が研究開発され利用に供されつつある.視覚障害者がそれらのシステムを利用し、共同作業に参加し晴眼者と協力して作業ができるためには全く新たな仕組みと機能が必要である.そこで遠隔地に分散する複数の視覚障害者が晴眼者とともに協力し合って一つの仕事ができるようなコンピュータ支援共同作業(CSCW)環境を実現するために必要な機能及びシステムの研究開発を実施した.映像、音声、音響、ハプティック知覚、触知覚などのマルチメディアを総動員して視覚以外の感覚器官を複合利用することにより、視覚障害者から見た新たなCSCWインタフェース機構の研究開発を行った. 本研究の基幹機能として、まず分散した遠隔地ユーザのマルチメディア双方向同時コミュニケーション機構の開発を行った.次にCSCW環境として、多人数が同時参加でき、内容がわかりやすく、かつ評価が行いやすい対戦型ゲーム(囲碁、トランプ)を取り上げ、インタフェース及びシステムの開発と評価を行った.視覚障害補償インタフェースのCSCWシステムへの組み込みにあたっては合成音声による音声ガイド機能を全面的に取り入れると同時に、触知型タッチパネルNomadを接続して画面画像情報へのダイレクトアクセスが利用できるようにした.そのためのドライバソフトなども新たに開発した.今回の研究実績は以下の三項目にまとめられる. 1.クライアント間双方向同期コミューケーション機構の開発と適用 遠隔地に分散された複数のクライアントユーザがコンピュータネットワークを介して共同で同時進行の作業を行えるように、多方向同時相互コミュニケーションの基盤システムを開発した. 2.CSCW環境として盲人参加型多人数対戦ゲームの開発と評価 CSCW環境として全盲視覚障害者を含む遠隔地複数クライアントによる囲碁やトランプ(七並べ)ゲームができる環境を構築し,実験評価を行った. 3.成果発表 これまでの成果を和文,英文の論文の形で発表した.
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