研究概要 |
経済杜会の基本原理や経済的見方考え方、すなわちエコノミックリテラシーを育成する経済学習プログラムの開発と,導出された原理や条件などをふまえたプログラムの授業試行を図った。 初年度に、米国経済教育の様々なプログラムを収集し、分析検討した上で、その構成原理を導出した。そこから、プログラム開発の類型を形成し、内容開発の論理を導き出した。 プログラム開発の類型は、経済概念・方法の習得をねらいとする「科学的経済認識形成」、様々な経済問題に対処できる経済的判断力(概念適用、経済的推論)の育成をねらいとする「合理的意思決定能力育成」、そして、子どもの価値観形成や経済理論の批判も視野に入れた「実践的意思決定能力育成」に分けることができる。 「科学的経済認識形成」は、経済的見方・考え方の基盤となる経済学概念・方法の習得をねらいとするものである。その理論に基づき中学校杜会科公民的分野において、単元「経済概念で問題を解く」を開発した。 「合理的意思決定能力育成」は、科学的な経済概念習得のみならず、様々な経済問題に対処できる経済的判断力(概念適用、経済的推論)の育成をねらいとするものである。地域的・地球的規模の政策決定能力育成の理論に基づき高等学校公民科において、「費用便益分析、限界分析の事例」と「エコライト・ゲーム-地球温暖化に対する経済的手段」を開発した。 「実践的意思決定能力育成」では、杜会認識形成、合理的意思決定能力育成に加えて、子どもの感情を含む意思決定によって、実践的判断力を育成するものである。クリルスキー著『ミニ=ソサエティ』(カリフォルニア大学ロスアンゼルス校)の分析を通して得られた理論に基づき中学校社会科公民的分野において、「エネルギー供給ゲーム」を開発した。 これらの原理研究とプログラム開発は、関連学会で発表し、討議の上で、報告書にまとめた。
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