研究概要 |
ポートフォリオという用語は、生徒の学習進歩状況を表す作品・文書が累積された書類入れの中の何らかの資料と解されている。一般に、ある領域において時間の枠を超えて作成するポートフォリオは、知的成長の跡やリアルな学習状況を映し出す。 本研究の目的は、(1)ポートフォリオ教材として活用するための数学問題を開発すること,(2)ポートフォリオ作成過程で生じる重要な情意的変数を見出すこと,また、生徒の自主的な学習行動をうながすための授業モデルを構成すること,である。 この研究で開発されたテスト問題は46問からなり、その内容は、読解、文章題、平面・空間概念、一次関数等となる・被験者から得られるテスト結果やプロトコルの分析から、次のような事柄を見出した。 ポートフォリオ過程で重要な働きをする情意的変数としては、数学的な考え方に付随する意欲に満ちた自己学習、AHA体験が伴う反省的思考があげられる。また、本研究で考案されたZeigarnik効果を取り入れた授業モデルは、生徒のメタ認知方略をうながすこと、および自主性を育てるように想定できる。
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