本実績報告書は、3年次計画の第3年次であり、第2年次までの研究内容と成果の結果を受けて、以下のような研究活動を実施し、実現することができた。 第一に、第2年次までの研究過程において、第3年次当初の研究課題であった具体的な初等教育と中等教育の一貢カリキュラムの試案の作成に取り組んできた。試案の作成に際しては、併行してカリキュラム概念の考察も文献研究を中心にして進めてきた。特に、カリキュラムが事前の学習計画やプランという認識から、教育実践そのものの総体を示す傾向もあることに鑑み、本研究の目指す目的もそのカリキュラムの指針となるべきガイドの構築へとシフトしていくことになる。基本的には、各学校の特色や児童生徒の実態に合せて独自の教育カリキュラムが実現するような、教科としての方向性を示すカリキュラムガイドの構築を目指した。その研究成果については、第49回大学美術教育学会鹿児島大会にて発表を行なうと共に、当学会誌に投稿した。 第2に、第1で作成した初等・中等教育における一貫カリキュラムガイドの試案に対して、実践的な視点で検証することを試みてきた。具体的には現職教員の大学院生の協力を得て、山形県白鷹町立の公立小学校と中学校において、実際に研究授業を行ない考察、検証することができた。この具体的な研究授業を通して、共通題材における初等教育と中等教育の関連性や一貫性への考察を実践的な視点で行なうことできた。また、カリキュラムガイドの実践的な検証とも合せて、初等教育と中等教育とを一貫した題材配列表の試案も作成することができた。 この研究成果は、第25回美術科教育学会横浜大会において、発表題目「小学校と中学校との関連を意識した造形美術教育の再構築化の試み-教科カリキュラムガイドと実践事例の考察-」で大学院生と共に発表を行った。 3年次までの研究成果を研究成果報告書にまとめる。
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