研究課題
基盤研究(C)
文字言語と音声言語処理モデルや実証研究により、主に以下のことを明らかにした。1.多くの日本人は、特に英語力の低い学習者は、文字で認識できる単語より、音声で認識できる単語の方が少ないことから、読解能力は聴解能力に応用されにくいことが考えられる。リーディングでは、正しい発音を知らなくても、視覚経路で意味アクセスできる。しかし、ネイティブ・スピーカーの発音とほど遠い発音で覚えていると、リスニングの場合、その単語を聞いても認識できない。それ故に、文字と音声の対応規則を習得しておくことが大切である。2.聴解力にかかわっている様々な下位技能の中で最も重要な要因を調査した結果、音声で単語や句を認知できる能力であった。日頃から、それぞれの単語の発音を正しく習得するだけでなく、語彙やコロケーションを増強することが聴解力を伸ばす鍵となる。3.音声情報は、直接音韻性短期記憶に入り、ワーキングメモリの働きによって保持しながら、意味アクセス(言語処理)を行っている。この音韻処理と保持は、トレード・オフといった単純な関係ではなく、情報理解のため、イメージングやリハーサルをして、前出の言語情報等の不必要な情報からの干渉に効率良く対処し、必要な情報のみに焦点をあてていく高度な認知メカニズムである。4.大抵の日本人英語学習者は、音声による単語認知が弱く、また、L2の記憶容量が小さいため、リスニング指導後に文字提示を行うと効果が上がる。その場合、英語力の高い学習者は、テキストを聞きながら読む活動が、英語力の低い学習者は、自分のペースで読む活動がよりテキスト理解度を上げることがわかった。5.英語力が比較的低い学習者の場合、リスニング時よりリーディング時の方が、句の間に置かれたポーズを有効に使用することできる。リスニングでは、繰り返し聞く活動が有効で、その場合、少なくとも3回繰り返して聞くと、大抵の学習者は、有意に理解度を伸ばすことができる。
すべて 2003 2001
すべて 雑誌論文 (8件)
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JTLA Journal 4