本研究は、平成8年度から平成10年度の3年間にわたり、科学研究費補助金を受けて行った『造形活動における子どもの発達的特性をふまえた鑑賞教育の方法論に関する研究』に続くものであり、前回の研究において今後の課題として残された「発達段階を考慮した鑑賞教育カリキュラムの検討」を中心課題として、先の研究成果を実践の場で試行するとともに、新たな題材開発や授業モデルの作成を行い、小・中学校における9カ年間の図画工作・美術科教育を一貫する鑑賞教育プログラムを編成することを目的とする。 初年度である平成12年度は、以下の内容について研究を進めるとともに、施設設備の充実・改善を図った。 1.図画工作・美術科教育における鑑賞題材及び授業モデルの実践化と資料収集 前回の研究において作成した鑑賞題材及び授業モデルに、新たに開発した鑑賞題材及び授業モデルを加えた、小学校向けと中学校向け合わせて計35の鑑賞題材について、その実践的な有効性を検証するために、群馬県内の小・中学校を中心に学校現場における授業実践とその記録を依頼し、資料収集を行った。 2.図画工作・美術科教育における授業研究に関する基礎的検討 内地研究員としての研修の機会を得たため、鑑賞題材及び授業モデルの実践化と並行して、教育方法学の知見を図画工作・美術科教育の立場から再検討し、図画工作・美術科教育における授業研究の現状と課題について検討した。その成果は、学会の研究部会において口頭発表するとともに、紀要等に論文発表した。 3.施設・設備の充実、改善 学校現場における授業実践の記録とそれらを分析するための機器等を整備するねらいから、デジタルビデオカメラ等の記録装置の充実とコンピュータ環境の改善を行った。
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