研究概要 |
本研究は、第一に近年我が国でも話題になっている「学際的学習」「総合的学習」を日本の他にアメリカ・中国の音楽教育における理論的な視点から明らかにし、そのカリキュラム構成を明らかにした。その際にどのような目的で「学際的学習」「総合的学習」が構築されているか、またその背景は何か。具体的には芸術教科を中心とする「学際的学習」「総合的学習」の在り方と意義を研究した。第二に実践的研究として、「学際的学習」「総合的学習」が児童・生徒や教師にどのような影響を及ぼしているか、日本、アメリカ、中華人民共和国におけるフィールと調査を元にカリキュラム評価の立場から明らかにした。 研究方法として、国内における「総合的学習」の事例としては、雑誌『教育音楽』などの資料から分析し、アメリカの実践資料では、「子どもと教師のための芸術の学際モデルプロジェクト」(IMPACT)、「全米音楽教育者会議」(MENC)の「全米芸術標準」に基づく各州のカリキュラムを分析した。中国では人民音楽出版の教科書等から資料を収集した。特にフィールド調査では、カナダで行われた「国際音楽教育者会議」(ISME)で国際的な資料を収集したりアメリカのMENCの歴史センターで資料収集した。中国では、上海市、北京市、長春市の音楽参観や音楽教師の研究会に参加した。 結論として、日本では総合的学習がこれから期待されているが、アメリカでは既に1970年代以降から多文化的音楽教育の一環としての歴史があり,近年ますますその比重が強まっていること。中国でも、民族音楽やマルチメディアを生かした音楽教育が盛んになりつつあることが伺えた。 教育の目標観では、日本や中国では、楽しさや愛好を全面に出しているが、アメリカでは芸術の本質を認識したり受容したりすることをねらいとしていることが分かった。
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