日本人学校の実態調査と児童・生徒や家庭科教師を対象にした質問紙調査という二つの方法により研究を展開した。 1.2000年7月と、2001年7月に台湾に設置されている3校の日本人学校を、2000年9月と2001年3月にマレーシアに設置されている4校の日本人学校を訪問した。各学校には、家庭科の施設・設備や家庭科の指導に特徴がみられた。授業の中で異文化理解や現地理解の指導が展開されていた。 2.2001年5〜6月に17校の補習授業校を対象に家庭生活や家庭科観に関する調査を実施した。補習授業校の児童・生徒は家庭科に対する認職は低かった。教科として学習していないことも要因であることが明らかとなった。 3.2002年2月〜6月と12月にかけて、26校の小・中学校の帰国の児童・生徒、一般の児童・生徒を対象に家庭生活や家庭科観に関する調査を実施した。帰国の児童・生徒の生活に対する意識や態度が一般の児童・生徒とは異なることなど、各対象者の特質が明らかになった。 4.同時期に帰国の児童・生徒を指導している家庭科教師に家庭科指導の現状を調査した。指導する時、半数の教師が帰国の児童・生徒を意識していた。関心や理解度は一般の児童・生徒と変わらないと認識していた。また授業参観により指導の実際を垣間見ることができた。 5.2002年11月〜2003年2月にかけて、日本人学校67校の家庭科の教育環境について調査し、家庭科教育の現状に関する資料を収集した。家庭科担当教師は、自己の専門性や授業時間数の減少を問題点としてとらえていた。また、現地生活をふまえた家庭科の教材を工夫していた。収集した資料をもとに年間指導計画のデータベースを構築中である。 海外や帰国の児童・生徒の家庭科教育を多面的にとらえて、家庭科の指導方法を考察した。
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