家庭科における学習内容は、子どもの日常生活と密接に関連しているため、日常生活経験は家庭科学習に大きな影響を及ぼす。したがって、家庭科学習内容にかかわる生活上の事象について、学習前に子どもがどのような考えをもち、どのような見方をしているのかを知っておくことは、家庭科の授業を展開する上でも、また家庭科カリキュラムを考える上でも重要なことである。そこで、本研究では、家庭科学習前の子どもたちが、日常の生活事象について、どのように理解し、どのような論理でそれを説明しようとしているのかを明らかにすることを目的とする。方法は質問紙によるアンケート調査で、小学校家庭科学習前の小学校4年生および学習後の6年生を対象とした。その結果、1.学習前の小学校4年生は学習後の6年生に比べ、自分との関わりから生活事象や生活行動を捉える傾向がみられた。2.小学校4年生は6年生に比べ、日常生活の中で具体的に直接観察される事実を基に生活事象や生活行動を理解していた。3.小学校6年生は4年生に比べ、生活事象や生活行動を客観的かつ科学的に捉えていた。4.小学校4年生は6年生に比べ、実際に体で感じることや自分の気持ちを中心に、生活事象や生活行動を説明していた。5.小学校6年生は4年生に比べ、家族との関係を情意的な面から捉えていた。6.小学校6年生は4年生に比べ、生活事象や生活行動の生活上の意味や、人間や人間の生活への影響についてまで考えが及んでいた。以上のことから、家庭科の学習の中では、子どものもつ理解の仕方や見方をふまえ、日常生活の中では獲得できない視点を重視する必要があると思われる。
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