研究課題/領域番号 |
12680269
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小篠 敏明 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30041007)
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研究分担者 |
馬本 勉 比治山大学, 現代文化学部, 助教授 (40213483)
村上 直子(本岡 直子) 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教授 (30280184)
松岡 博信 安田女子大学, 文学部, 助教授 (10249576)
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キーワード | 英語教育史 / 教科書 / 明治時代 / 大正時代 / 昭和時代初期 / 計量的分析 / 語彙分析 / リーダビリティー |
研究概要 |
平成13年度においては、主として次の3種の研究活動を行った。(1)明治・大正・昭和初期の英語教科書に関する情報の収集、(2)英語教科書のテキストのコーパス作成、(3)作成したコーパスを使った教科書の計量的分析・比較。教科書の調査・収集は全国各地の図書館および古書店にて行い、現在、資料作成中である。コーパス作成については、次の3セットを完了している。(1)Harold E. Palmer著The Standard English Readers (SER)(開拓社、1926)、全10巻、(2)岡倉由三郎著The Globe Readers (GR)(大日本図書、1907)、全5巻、および(3)Barnes著National Readers (NR)(A. S. Barnes & Co.,1883,1884)、全5巻。この件については、すでに昨年度において一応作成済みだったが、その後データに暇疵が見つかり、分析の精度に問題が生じたため、更に綿密な確認を行い、完成度を高めた。このコーパスを使って3教科書の計量的分析を行い、その成果を日本英語教育史学会第17回大会(2001年5月20日、於広島大学大学院)および日本英語教育史学会月例研究会(2001年11月18日、於拓殖大学)にて口頭発表した。分析の視点は、(1)リーダビリティー(読み易さ)(Flesch Reading EaseおよびFlesch-Kincaid Grade Level)、および(2)語彙の頻度(総語数、異語数、および異語数/総語数の比率)である。3種類とも日本人学習者により使用された教科書であるが、SERは英国人専門家、GRは日本人専門家によるもの、NRは米国人専門家によるものである。分析の結果、次のことが判明した。(1)総語数、異語数はNR、SER、GRの順で多く、母国語話者による教科書(NR、SER)が難しい教科書である。日本人によるGRは総語数、異語数ともに少ない。(2)一方、総語数に対する異語数の割合はNR、SER、GRの順で低く、母国語話者による教科書(NR、SER)が学びやすい。(3)リーダビリティーにおいては、NR、GRのほうがSERより読みやすく、易しい文章である。
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