研究概要 |
平成14年度においては、主として次の2種の研究活動を行った。(1)英語教科書のコーパス作成、および、作成したコーパスを用いた教科書の計量的分析・比較、そして、(2)英語教科書の発達に関する総合的分析。(1)のコーパス作成とその計量的分析に関しては、現在、Barnes著New National Readers、岡倉著The Globe Readers(前5巻)、Palmer著The Standard English Readers(全5巻)、文部省(外山正一)著『正則英語読本』(全5巻)、文部省(Dening)著English Readers : The High School Series(全5巻)、竹原常太著The Standard English Readers(全5巻)のコーパス作成と計量的分析を完了している。また、New Jack and Betty(中学校、開隆堂)、New High School English(高等学校、開隆堂)、Sunshine English Course(中学校・高等学校、開隆堂)の計量的分析も完了している。分析の視点は、(1)リーダビリテイ(可読性)(Flesch Reading EaseおよびFlesch-Kincaid Grade Level)、および、(2)語彙の頻度(総語数、異語数および異語/総語数の比率)である。これらの成果の一部はすでに各種学会において口頭発表されており、すでに、「戦後英語教科書の量的分析」(中村愛人、小篠敏明他3名著、『日本教科教育学会誌』25・2(2002),61-68)と題する論文として公刊され、他は現在、論文化の途上にある。(2)の英語教科書発達史の分析では、過去3年間の間に分析したデータを使用し、また、各種教科書の質的分析も加え、日本における教科書発達通史の素描を試みた。これらの成果は「英語教科書簡の変遷と展望」(小篠敏明著、『英語と英語教育』6(2001),1-10)、「文法統制から見た英語教科書発達通史の試み」(小篠敏明著、『英語と英語教育』7(2002),1-20)と題して論文として公刊され、また、『明治・大正・昭和初期の英語教科書に関する研究』(小篠敏明・中村愛人共著、渓水社、2001、190ページ)と題して専門書として出版されている。
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