3年計画の最終年度にあたる平成14年度は、以下の諸課題に取り組んだ。 (1)前年度に引き続き、国内各地域の幼・保、小、中学校の現場教師を対象に聞き取り調査を実施し、体育指導のカリキュラムと実践の現状、およびそのもとでの児童生徒の体育の達成度に関する実態(発達段階、地域特性を観点に)を把握した。 (2)タイ(バンコク)、中国(上海)、台湾(高雄、台北)、韓国(釜山)の各国地域のスポーツ教育学研究者ならびに現場教師との間で、体育の学力の実態および国際比較調査方法の開発をめぐって研究協議を実施し、現代の子ども・青年の体育的発達課題にみられる共通性と差異を確認するとともに、調査のカテゴリーとそれらの構造を検討した。 (3)それらの成果をふまえて、体育の学力に関する実態調査方法論を作成するとともに、5才児とその保護者を対象に予備調査を実施した。 このような取り組みのもとに作成された調査方法は、1)日常生活に関する調査(質問紙法)、2)社会的スキルの発達状況に関する調査(質問紙法)、3)体育の学習到達度に関する調査((1)体育授業に関する情意的評価、(2)運動の有能感、(3)スポーツ文化に関する価値知識、いずれも質問紙法)、4)運動能力テスト(アチーブメントテスト)から構成された。今後、本研究で開発された調査方法を用いて、実際に、縦断的・横断的な調査を実施することが期待される。
|