継続して実施してきた調査や聞き取りについての分析をとおして、次のことについて知見を得た。 1 世界におけるカリキュラムのとらえ方の動向としては、授業の計画・実行・評価のすべてを含む包括的な概念としてのとらえ方が一般的になってきている。我が国においてもその傾向にはあるが、まだ学習指導要領に示された内容、教科書の内容・配列などと理解されたり、学校で作成した年間教育計画・指導計画を意味するものとするとらえ方が残っている。 2 小学校教師は授業の計画段階よりも授業実施の段階に重点を置く傾向があり、授業の評価と改善が重要な課題であると認識している。 3 小学校教師の授業観を教師の自己評価からとらえ、研究者の開発した教師主導・説明練習尺度、児童主体・活動支援尺度によって、教師の授業観についての3つのタイプを設定した。 4 算数科カリキュラム観の評価については、その編成、授業及び評価・改善の3つの段階から検討を加え、「編成重点」、「授業配慮」、「授業構成」、「評価場面」等11個の評価尺度を開発した。 5 年齢による算数科カリキュラム評価尺度得点を比較すると、30歳代が11個の評価尺度中6個の評価尺度において最も低いかまたは最も低い群に属していることがわかる。 6 3つの授業観のタイプと算数科カリキュラム評価尺度得点との関連について検討を加えるとき、児童主体・活動支援尺度得点の高いタイプの教師については算数科カリキュラム評価尺度得点も高い傾向があり、その中の6つの評価尺度において他の2つまたは1つの群との間で有意差が認められた。
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