研究概要 |
小学校教師対象の調査をベースにして,中学校数学科教師を対象とした調査を継続中である。ここでは回収した回答(86名分)によって予備分析を行った。先ず小学校教師との比較のために,これまでに開発した11個のカリキュラム評価尺度(カリキュラムを編成,授業,評価,改善の3つの段階からとらえ,これらの各段階をそれぞれ4個,4個,3個の尺度によって評価しようとしている。)を用いて中学校数学科教師の認識について検討を加えようとした。また中でも重要な意味をもつ算数・数学科の授業観についても,小学校教師を対象として開発した児童主体・活動支援評価尺度(S尺度)と教師主導・説明練習評価尺度(T尺度)によって,小学校教師と中学校数学科教師との比較を試みた。以上のことから次の諸点が明らかになった。 (1)編成の段階(編成重点,編成主体,編成目標>の各評価尺度については,相対的に中学校数学科教師の方がより高い得点を示している。 (2)授業の段階(授業配慮,授業構成,授業構え,授業柔軟>の各評価尺度については,小学校教師の方がより高い得点を示している。 (3)評価・改善の段階では,編成改善評価尺度については中学校数学科教師,展開改善評価尺度については小学校教師がより高い得点を示している。 (4)S尺度得点が高い教師をS-type, T尺度得点が高い教師をT-type,及びその中間に位置する教師をM-typeとするとき,小学校教師はS-type, M-type, T-typeに属する教師の割合はそれぞれ16.1%, 37.1%, 14.5%であった。それに対して中学校数学科教師の割合はそれぞれ4.7%, 51.2%, 23.3%であり,小学校教師に比較してS-typeが少なく,M-type, T-typeが多いことがわかる。
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