研究概要 |
小学校教師対象の調査(徳島県国公立小学校教師490名)をベースにして,徳島県国公立中学校数学科指導担当教師を対象に調査を進め162名より回答を得た。先ず小学校教師との比較のために,これまでに開発した11個のカリキュラム評価尺度(カリキュラムを編成,授業,評価,改善の3つの段階からとらえ,これらの各段階をそれぞれ4個,4個,3個の尺度によって評価しようとしている。)を用いて,中学校数学科教師のカリキュラムに関する認識について検討を加えた。また中でも重要な意味をもつであろう数学科の指導における教師の授業観についても,小学校教師対象の調査をもとに開発した学習者主体・活動支援評価尺度(S尺度)と教師主導・説明練習評価尺度(T尺度)によって,小学校教師と中学校数学科教師との比較を試みた。以上のことから次の諸点が明らかになった。 1 編成の段階(編成重点・編成主体,編成目標),及び授業の段階(授業構え,授業柔軟)の各評価尺度については,小学校教師と中学校数学科教師の間には大きな得点差は見られない。 2 授業の段階(授業配慮,授業構成)の各評価尺度については,小学校教師の方が中学校数学科教師より高い得点を示している。 3 評価.改善の段階(評価場面,編成改善)の各評価尺度については,中学校数学科教師の方が小学校教師より高い得点を示している。 4 S尺度得点が高い教師をS-type, T尺度得点が高い教師をT-type,及びその中間に位置する教師をM-typeとするとき,小学校教師の場合は,S-type, M-type, T-typeに属する教師の割合はそれぞれ12.7%,15.1%,11.6%であった。それに対して中学校数学科教師の場合はそれぞれ3.1%,15.0%,18.8%である。
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