ゴミの増加とゴミ処理による新たな環境問題が深刻化し、便利な生活を保障してきたこれまでの生産・消費や社会システムを見直す必要が指摘されている。また、ゴミ問題を生じない循環型社会にしていくためには、ゴミ問題を資源・エネルギー問題として包括的に扱うことが必要であり、問題の体系的な理解と実践能力を育成する教育が必要である。そこで、自然界の循環原理の理解、それに基づく社会システムつくりの一貫した方策、その実践参加能力の育成、までを包含する総合授業を、小・中・高等学校の各学校段階を通じて系統的・体系的に構想し、さらにその構想の具体化をめざした。 13年度は「小・中・高等学校の総合授業「ゴミと資源エネルギー」の学習内容構想」に基づき、中学校と関連させて高等学校における授業内容を整理した。具体的には、中学校の学習項目「II.資源の循環と社会システム」で、分別回収しても資源化されない社会システムの問題を取り上げ、循環システムの必要性をわからせる。それを受けて、高等学校の学習項目「IV.ゴミの政策」で、循環システムをつくるためにはどのような政策が必要かについて、ゴミ減量の3Rの原則に沿って、日本とドイツの廃棄物政策の内容とその効果を比較することにより、政策も3Rの原則に沿う必要があることを理解させる内容とした。また、小学校の「III.ゴミのゆくえと循環(6)紙と森林資源」の「紙ゴミのゆくえと循環」および高等学校の「IV.ゴミの政策」の「日本とドイツの廃棄物政策」について、プレゼンテーション教材と製紙実験教材を開発し、小学生、大学生および生涯学習の場で実践検証を行い、授業の改良を重ねている。なお、研究内容の一部を2001年8月日本環境教育学会第12回大会(北九州)および2001年10月第48回日本家政学会中国・四国支部会(宇部)で、3報口頭発表した。
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