1)ベル(トーンチャイム)音の解析 ピアノの演奏データを検討する前段階として、打鍵構造による楽器音の解析データを得る必要がある。その視点から、ハンマーの打鍵により発音する単純な構造であるトーンチャイムを用い基礎データを得た。その結果は、単純な構造でありながら、奏法によりスペクトラムが異なり、打鍵直後の楽器移動によっても音響的な揺らぎが発生することが分かった。 2)意図的な音楽表現の客観化 ピアノ演奏において、熟練者の意図的な表現と初心者の表現との相違を、MIDI及びWAVデータとして取り出し、このデータに基づいた楽譜作成の作業を行った。さらに得られた標本及びデータを基に学習者の鑑賞力を問うための教材を作成し、作成した教材の意図をどの様に鑑賞者が認知できるか、また音楽的な表現を客観的に示すための記譜上の特徴について考察した。この研究は従来「音楽的な表現」の中で、暖味な説明がなされていた点について、より具体的な説明が可能となる意味で、教材開発に結びつくものである。 3)演奏データの蓄積 市販のディスク及びデジタルビデオカメラによる生演奏の録画・録音のデータを用い、MIDI及びWAVデータへの変換作業を行い、それらのデータベース(CD-R及びDVD-Rへの蓄積)作成を行った。この蓄積により、次年度の音声標本の抽出とデータ処理が効率的に行われる。
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