研究概要 |
日本における英語教育の環境に適した言語学習ストラテジーの効果的指導モデル構築を最終目標とする本研究は、本年度(平成12年)まず幾多の言語学習ストラテジー研究を整理し、その動向を明らかにした。その際、まず言語学習ストラテジーの定義と定義における諸問題を整理し、日米の学会誌および研究書における言語学習ストラテジーを扱った研究を調査した。その結果をふまえて、日本と海外の言語学習ストラテジー研究の動向と今後の課題を明らかにしたのである。 具体的には言語学習ストラテジーをめぐる現在の研究動向は、ストラテジーを単に描写・分類する研究は,海外はもちろん日本においてもほぼ最終段階に入っているといえる。また言語学習ストラテジーに関わる研究において、今後一層研究を進めることが期待されている分野は,効果的指導法の開発であるといえる。米国においてはScarcella & Oxford(1992)によるタペストリーアプローチや、Chamot & O'Malley(1994)によるCALLAなど、語学教育の中でストラテジーを体系的に訓練するテキストや指導法が提案・実践されている。こうした指導法においては、ストラテジーを明示的に指導することが原則となっているが、日本人英語学習者がおかれた学習環境や彼らの言語学習ストラテジーに対する態度や信念(Robbins,J.A.,1999)などを考慮すれば、暗示的ストラテジーの指導法との組み合わせを充分検討する必要がある。次年度(平成13年度)においては、本年度実施した暗示的ストラテジーの提示の効果を測る実験結果をまとめ、認知理論の枠組みの中でストラテジーの明示的/暗示的指導の効果を検証した上で、日本の中学・高校における英語教育での言語学習ストラテジーの効果的指導法を提案する予定である。
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