外国人日本語学習者の聴解において、上級レベルになっても困難をきたす要因について実証的に考察を行うとともに音の聞き取り練習プログラムCAIの作成を行った。聞き取りの題材としては、落語、ニュース、ドラマ、映画などを用いた。 1.語彙の推測・待遇表現に関して 新しい語彙を推測する際に、母語話者が利用している前後の文脈や心内辞書などが十分でないことが困難をきたす要因になっていることを考察した。また、待遇表現による理解の不十分さから誤解を生じていることも多い。そこで、落語を教材として用いたところ、表現された言葉から、男女、身分、仕事、立場の違いなどを即座に判断することが求められ、上級の聞き取りの素材としては格好のものとして利用できることが分かった。 2.音のくずれ・音変化に関する要因 「入ンな」の「ン」の音が「入りな」から来ているのか「入るな」からなのかなどは、上級者であっても誤解していた学習者が多かった。そこで共通して困難である「撥音」「拗音」「無声化」を取り上げ、ディクテーションによる聞き誤りの実態調査を行い、さらに、コンピュータによる聞き取り能力の診断および訓練プログラムを作成した。
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