研究概要 |
日本語教育では科学技術を題材とした文章は上級レベルでも取り上げられることが少ない。現在,科学技術文の作成指導はほとんどの場合,専門課程の指導教官によって行われている。それも,専門教育の一部と認識されているため,留学生に共通する日本語の問題としては意識されていない。結局,留学生の作文指導は,日常的な日本語教育から一気に専門分野での科学技術文へと不連続に移り変わっている。このギャップを埋めるため,専門的な科学技術文作成の前段階となるような,新しい作文指導の方法を確立することが必要である。これが,本研究の目的である。 平成12年度は以下のような研究計画で研究を行った。 1.試験的データ収集 研究分担者が担当する専門科目の授業で,設定された一つのテーマで日本人学生に短いレポートを課す。提出されたレポートを分析し,本研究用のデータの収集,分析の方針を明確にする。 2.分析用データ収集 決定された方針に基づいたデータを収集するため,研究分担者(並木,池田)がそれぞれの分野で授業の一環として日本人学生(学部2年,3年生対象)にレポートを課す。提出されたレポートをワープロで入力し,文章データベースを作成する。 具体的には,研究分担者が担当している機械システム工学科と情報コミュニケーション工学科の授業でデータが収集できる科目を選定し,データ収集を行った。その結果,機械システム工学実験「精密測定」レポート(93人分),情報コミュニケーション工学科レポートNo1(33人分),No2(26人分)を収集した。これらの手書きレポートを分析のため,ワープロ入力し,文章データベースを作成した。データの一部を取りだし,分析方法について検討した。
|