研究概要 |
レポート等の文章を書く能力を養成するための教材を試作した。理工系の留学生の最終目標が科学技術論文,レポート,レジュメ等を書くことであることを考慮して,題材を基礎科学分野(中学・高校レベル)からとった。開発教材は13のトピックから成っている。トピックは以下のとおりである。((1)〜(4)は教材のタイプを示す) (1)[酸の中和][浮力](2)[電磁誘導](3)[自由電子][コンピュータは2進法](4)[木炭の燃焼][スカイダイビング][気温の変化][光の屈折][ボルタ電池][気球][蜃気楼][光通信] これらの教材の開発については「理工系留学生を対象としたボトムアッフ型の作文指導及び教材開発」という題で研究発表を行った。 上記の教材を使って留学生を対象に作文指導を行ったところ,1つの教材に対して様々な解答文が可能であることが明らかになった。科学技術文として適切な解答文はどのようなものであるかを明らかにするために,教材[木炭の燃焼]を使用して日本語母語話者73人の解答文データを収集した。解答者の内訳は日本人学生(工学部1年生)17人,日本語教師7人,一般日本人49人である。これらの解答文を工学部専門教官3人(分担者を含む)に評価してもらい,この結果について分析を行った。良いと評価された解答文の分析によって科学技術文として不可欠な要素が抽出された。これに基づき複数のモデル解答文を作成した。また,評価の低かった解答文データから,不適切とされた箇所を取り出し分類した。この分類に基づき作文指導の際指導すべき項目を明らかにした。以上の研究結果について,論文「科学技術作文教材の開発及びモデル解答作成のための解答文分析」にまとめた。
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