今年度の成果 本研究成果で平成13年度の出版されたものは3編あり、下記にその成果の概要を述べる。 1.小暮、寒河江(2001)ではノンパラメトリック統計モデルの最近の研究動向のレビューを行い、統計学会誌でこの分野の研究方向、成果等について調べ、我々の視点から同分野の理論的な枠組みを構築する意図でまとめてみた。この中で本テーマに関係の深いビン型ノンパラメトリック推定法についても論じ、本研究の位置付けを明らかにした。 2.山本、寒河江(2002)ではビン型推定法の研究動向をみると、ビン(度数)情報に基づいた推定では推定する関数だけを数学的に工夫することで推定精度を向上させる研究がなされてきた。本研究では、新たに追加した情報:ここではパーセンタイル情報(局所的な位置情報)や標本の平均情報等を付加した場合に推定性能にどのような影響を与えるかを検討し、その理論的な評価を行った。 3.山本、寒河江(2002)では、ノンパラメトリック統計モデルではあまり関心の払われていない計算効率の面からこのテーマについて検討を行った。計算量、計算効率と理論的性能、そして、大規模データへの摘要等を考えた場合に直面する計算コストに着目し、計算効率に優れ、理論的性能も優れている局所線形カーネル関数を用いた新しいカーネル関数(台形カーネル)を提案し、その理論的性能と、計算量からの効率性を理論と数値実験の両面から明らかにした。 今後の展開とその計画 最終年度となる平成14年度は、本研究成果を国際会議で発表し、多くの統計研究者への周知活動を行う。また、ビン型推定法でも確率的に変動する可変的なビン区間を持つ推定法と粗の理論的な性質や問題点を検討する。また、多くの統計資料で慣例的に行われている集約化の方法を本研究成果に基づいてその問題点と改善方法を提案する予定である。
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