研究課題/領域番号 |
12680317
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松浦 正明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (40173794)
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研究分担者 |
甲斐 倫明 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (10185697)
早川 式彦 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40022834)
大瀧 慈 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (20110463)
三根 真理子 長崎大学, 医学部・附属原爆後障害医療研究施設, 助教授 (00108292)
江口 真透 統計数理研究所, 統計基礎研究系, 教授 (10168776)
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キーワード | がん / 数理モデル / 放射線 / 被爆者 / 放射線疫学 / 死亡率 / 発癌2段階モデル / データ解析 |
研究概要 |
本研究は、放射線被曝によって誘発される発癌への関与の仕方を数理モデルによって検証するための統計学的方法論を開発し、広島大学原爆放射能医学研究所が追跡している原爆被爆者集団を用いて実際の放射線疫学データ解析を行い、その結果を放射線疫学・生物学の観点より考察することを目的としている。本年度は、遺伝的不安定性を考慮した統計学的発癌モデルとして、Moolgavkarの発癌2段階モデルにおける放射線の急性効果、すなわち放射線被曝時のみに線量依存の変異細胞が生じるという以前から用いられている急性効果の仮定の部分を変更し、被曝後のある期間にわたって幹細胞の変化が生じるという晩発効果モデルを提案し数理モデルとして定式化した(松浦、甲斐、江口)。この理論をデータ解析で検証するため、FORTRANによるプログラミング開発を行った(松浦、佐藤)。また、データ解析のために広島被爆者データの資料整理と必要資料のデータ入力を行った(早川、星)。長崎データに対しても、解析が行えるようにプログラムを実行できる環境を構築しデータの整理を行った(三根)。広島被爆者データに対しては、その疫学的側面を明らかにしておく事が重要であるため、ガン死亡リスクの最近の経年的変化を観察し各ガンの部位別過剰相対リスクの特徴を明らかにして、これを日本放射線影響学会第43回大会にて報告し、特に乳ガンに関しては長崎医学会雑誌に発表した(松浦、大瀧、星、早川)。また、シアトルのフレッド・ハッチンソン癌研究センターに海外出張し、本研究に関してMoolgavkar博士のレヴユーを受けた(甲斐)。さらに、京都で開催された発癌数理モデルの国際ワークショップにて、広島被爆者の肺・胃・結腸ガンに対して本年度までに得られたデータ解析結果を発表し検討を行った(松浦、甲斐、大瀧)。
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