研究概要 |
動物試験等における最大無影響量(No-Observed-Adverse-Effect Level ; NOAEL)の決定問題において,順序制約を考慮に入れた情報量規準に基づいた正確なNOAEL決定法の導出,その決定のための効率的なアルゴリズムの開発,および汎用性と優れたユーザインターフェースをもつ解析プログラムの開発が本研究の主たる目的である.一昨年度,昨年度に引き続いて,AIC(Akaike Information Criterion)の他に,BIC(Bayesian Information Criterion), GIC(Generalized Criterion),MDL基準(Minimum Description Length Criterion)の上記テーマにおける有用性について研究した.安楽によるORIC(単順序制約下での選択規準)については順序制約下での情報量規準のペナルティー項のさまざまな評価法について検討した.野間口と安楽は研究成果を「母数に順序制約がある場合のAIC情報量規準について」と題して,情報・統計科学シンポジウム(福岡,2002.12)において,"On an AIC Information Criterion for ordered parameters"と題して,科研費シンポジウム「生物・医学分野の研究における数理モデルの構築およびデータ解析」(呉,2003.1)において発表した.丸山は研究成果を"Strong representation theorems for bitone sequential decision processes"と題して,"The 2nd.Japanese-Sino Optimization Meeting"(京都,2002.9)において発表した. 今後は,各情報量規準の順序制約下でのバイアス項の評価について研究し,NOAEL決定のための効率的なアルゴリズムの開発に着手する予定である. また,本研究テーマと平行してEM-Algorithmによる不完全データの推定についての研究を昨年度より継続している.菊池と野間口は研究成果を「情報量規準による潜在マルコフモデルの比較」と題して,日本計算機統計学会(高知,2003.5)において発表した.ポアソン混合モデルに対してEM-Algorithmによって得られる推定量の分散の不完全情報行列による推定値とBootstrap法による推定値を比較検討した.今後潜在マルコフポアソンモデルついても検討する予定である.さらに,潜在マルコフ正規モデルに自己回帰モデルや移動平均モデルを組み込むことによるモデルの拡張について検討を始めた.
|