大規模データ蓄積の効率化・高速化のために、ディスクを直接ネットワークに接続するストレージセントリックな構成が注目されている。しかし、それらの多数のディスクに対し、データ配置管理や障害対策を一カ所で集中的に行なうのは性能や信頼性の面で問題がある。各ディスク装置内のCPUとメモリを利用して、データ配置管理や障害対策が自律的に行うことができれば、管理コストを大幅に削減でき、十分な拡張性を保証することが可能となる。 本研究では、ディスク装置内での自律的な制御によってデータ配置管理や障害対策を行なうために、下記の項目に関して研究を行った。 ・分散ディレクトリとルール記述、およびストリームインタフェースを導入した自律ディスクでクラスタを構成することで、高い柔軟性が実現できることを示した。また、ネットワーク接続PCによる実験で、ルール記述の効果を示し、既存の技術と比較して十分な性能を示すことを実証した。さらに、障害やシステム要件変更のために、クラスタ構成を動的に変更する手法を提案し、その有効性を示した。 ・分散ディレクトリに関しては、我々が提案したFat-Btreeの自律ディスクへの実装、レンジ問い合わせの取り扱い、並行制御とその評価、およびリカバリに関して研究を行い、Fat-Btreeの有効性を示した。 ・分散ディレクトリを用いた負荷評価に関しては、探索コスト評価による分散ディスク偏り制御手法を提案し、ディレクトリ探索コスト重視並列ディスク偏り制御と並列データアクセス偏り制御におけるスケーラブルな並列制御の評価を行い有効性を示した。 ・上記機能の適用例として、分散ディスクへのXMLデータの分割格納方法の提案と、自律ディスクを用いたWebサーバー構成とその評価を行い有効性を示した。また、連続メディアデータを想定したディスクリトライアルゴリズムおよびパリティ計算と組み合わせる手法を提案し、その評価を行った。
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