研究概要 |
本年度は,複合オブジェクト索引の分散・並列索引処理方式について,12年度に行った研究のシステム実装を通じて,運用上の問題点を明らかにした.また,その解決策を考案すると共に、それを実証するためのプロトタイプシステムの構築と評価を行った.今年度は以下のようなの成果を得た. 本研究では索引方式の一つとしてマルチインデックス方式を採用しているが、問題点として、索引の並列・分散化に際しての問題は低充填率のパケットが多数発生し、それが通信コストの増大を引き起こすことがある。この問題に対して、前年度までの研究により、検索要求を格納する複数のパケットを1つのパケットに併合し、データ充填率を高めることと個々の検索要求に対する検索終了の判定機構を統合した効率よい方式を提案した。 しかしながら、実用レベルで次の2つの問題が残されていた。1つは、索引分割による並列非同期検索のために、検索要求が連続的に発生するような状況においては、検索要求の追い越しが多く発生することである。並列検索終了判定機構との両立を図るためには、通信パケットの充填率が低下することを回避できないので、通信コストが増大し、検索ターンアラウンドタイムが低下していた。この問題に対しては、個々の検索要求に対して異なるマシン集合(実装システムではマルチスレッドの集合)をスケジューリングして、専用に検索処理させることにより、本質的に追い越しが生起しない方式を提案した。 他の1つの問題点は、検索要求が単発的に発生する場合、既提案の終了判定方式では終了を判定できずに、各検索PEは受信データを待ち続けることである。この問題に対する効率よい解決法も提案している。 これらの解決策を取り込んだ実装システムについて,評価を行い,その有効性を検証した.
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