研究概要 |
3次元モデルの形状とその属性を対象とした,(1)電子透かし,(2)圧縮,(3)類似検索,の3テーマで研究を進めてきた.もっとも大きな進展があったのは電子透かしの分野である. 1.電子透かし:3次元ポリゴンメッシュの形状をスペクトル分解し,そのメッシュ・スペクトルの領域で透かしを埋め込む,全く新しい電子透かし手法を提案した.その特徴は,本手法で埋め込まれた透かしが妨害(乱数値の重畳,形状のスムージングなど)に対して頑強なこと,また同様の頑強性を備える手法に比較し,メッシュの大きさ(頂点数)当たりの埋め込み情報量が比較的多いことである.(国際学会Graphics Interface2001で2001年6月に発表予定.情報処理学会研究会では2000年9月,2001年2月と2回にわたって報告済み). その他,パラメトリック曲面を対象とし,その形状を変えずに透かしを埋め込む手法として節点挿入を用いる手法や,3次元メッシュモデルと類似したベクトル型電子地図を対象とする電子透かしに手法ついても研究を行った(後者は情報処理学会研究会で2001年4月に発表予定). 2.圧縮:Karniらは2000年8月,ポリゴンメッシュをスペクトル分解し,その係数を間引くことによりメッシュの座標値を圧縮する新しいメッシュ圧縮手法を発表した.我々は,同手法を改良し,スペクトル分解の基となるメッシュ・ラプラシアン行列を変更する等によりメッシュ座標値の圧縮効率を上げる手法を研究中である.(その一部はVR学会研究会で2001年4月に報告予定.) 3.類似検索:4次元の細分割曲面を用いて複数の3次元形状を補間し,変形を行う形状モーフィングの新しい手法を考案した(結果は2000年度グラフィクスとCADシンポジウムおよびComputers and Graphics誌2001年2月号で発表.)形状モーフィング技術は,その「補間変形の容易さ」を形状モデル間の類似度(距離)の計量として用いることができるため,類似検索と関連する.
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